「哲学の復権」「経済の刷新」「芸術の革新」を通して、西欧文明の限界を突破する
西欧の“形式知”による文明は行き詰まり、“形式知”に基づく民主主義に対して“実践知” “暗黙知”のポピュリズムが台頭している。世界は分断の様相を呈しているのだ。
いまこそ、本来の日本文明である“実践知” “暗黙知”の文明の復権が求められている。
「日本文明試論」「続・日本文明試論」「深耕・日本文明試論」と3作にわたり絵画、建築、文学、経済と日本文明の基礎をなす各分野に切り込み、独自の視点と解釈で縦横無尽に論じてきた著者が、ついに第4弾を上梓。
日本の進むべき方向を示す画期的評論
本記事は、株式会社竹中工務店で設計部及び設計本部にて標準仕様、標準図等の作成や、技術・申請で現業支援業務に携わっていた大島雄太氏の著書『終結 日本文明試論 来るべき世界基準の地平を拓く思想』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
そのような状況を打破すべく、学問の世界では学際的な学問が試みられているのですが、真に求められているのは個別分断化された学問を統合することであり、その鍵を握るのが、哲学と経済学なのです(図表1)。
現代の学問では文明について書かれた本、文化について分野ごとに書かれた本はあるものの、それを一体に扱ったものはないのです。
そもそも文明の定義を明確にした学者はいないのです。私は拙著において、「文明=文化+生産基盤(経済)+歴史・風土」と定義し、現在の学問分野として、絵画・建築・都市・文学(含む、演劇・音楽)などについて考察しました。その中で哲学と経済学が専門分野の一つの学問に押し込められている現状に疑問を感じていました。
哲学と経済学について本来占めるべき位置を図に示してみます。このような観点に基づき新しい哲学及び経済学を生み出す必要があるのです(図表2)。
※本記事は、2021年3月刊行の書籍『終結 日本文明試論』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。