「誰と友だちになるのか?」

私は、「顧客は友だち」と考えています。ですから、自分たちが嫌いなタイプの企業の仕事はしません。お金とサービスの交換だけをするビジネスでは、社員は幸せを感じてくれないからです。

顧客を友だちと表現するのに違和感があるかもしれません。とても失礼なことかもしれません。加えて、顧客は私たちを友だちとは感じないかもしれません。

しかし、相手がどのように感じようが私たちの考え方は変わりません。私は「私たち」を主語にビジネスを捉えます。好きな仕事を主体的に行う集団でありたいのです。これが私のポリシーです。

そもそも企業や組織とは、そこにいる人たちが幸せを感じ社会に奉仕できる時間を共有できる場所であると私は考えています。そのために組織は存在します。もちろん好きなことばかり行っているのではなく、真に友だち(顧客)のために頭とココロで汗を流すのです。社員には自己の成長を願い、困難にチャレンジしてほしいのです。そして、その時点での私たちのできる最善の行動を取ります。お金のためだけでは、楽しい毎日は送れません。

ですから、生意気ですが私たちは顧客を選びます。評判の悪い友だちと付き合うと良い友だちは去っていきます。それと顧客との関係は同じではないでしょうか。

ですから、「誰と友だちになるのか?」というのは、企業にとってとても重要だと考えます。

言い換えれば、自社の価値を認めてくれる顧客と仕事をすれば高い成果を提供できます。そして、社員も楽しい。

結果的にこの考え方は、マーケティングの神様と言われるフィリップ・コトラーが提唱した「マーケティング2.0」における「差別化のマーケティング」と同様の効果をもたらせます。

マーケティング1.0とは、製品中心のマーケティングでした。省エネのエアコンを開発すれば、購入者は誰でもいいのです。そんな時代のモノ中心のマーケティングでした。

マーケティング2.0とはSTPマーケティングとも言われているように差別化のマーケティングです。消費者中心のマーケティングとも言われています。STPは「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」の頭文字のアルファベットをつなげたものです。私は、この2.0でさえ実施されていない小さな会社が多いと感じています。

さらにマーケティング3.0は、価値主義のマーケティングとなります。消費者の多様化した価値に対応するマーケティングです。

そして、現在のマーケティング4.0は自己実現のマーケティングと言われています。スマートフォンなどのモバイルを中心としたマーケティングです。1.0をベースに2.0があり、その上に3.0、そして4.0があるとコトラ―は提唱しています。ですからまず、2.0のSTP分析のフレームワークから自社のマーケティングを見つめ直すことが必要になります。基本が重要だと私は考えます。