「若葉、大好きだよ……これからもメッセージを送るね……ずっと若葉のことを見守っているからね……ママのことよろしくね……じゃあ、元気でね」

新は涙を流しながら微笑んでいた。映像は三分ほどだった。鼻水をすするのを我慢し、音を立てないようにティッシュ箱から三枚取った。封筒が目に入ったのは、二回目の再生のあとだった。

新からの手紙が入っていることを想像したが、書類が二枚入っていて、そのうちの一枚には『メッセージリスト』のタイトルに続いて『四十九日のあとに』『中学生になったら』『高校生になったら』『好きな人ができたら』『20歳になったら』と書かれていた。もう一枚は説明書だった。

「……原則としてそのときがきたときにしか渡せません……そのときがきたら、下記の番号に電話してください。弊社の者がお届けします……お渡しの際に、お金をいただくことは一切ありません……なお、お渡しする相手が未成年の方の場合には、原則として保護者の方を通じてお渡しします」

他にもいろいろ書いてあったが、理解できたのはそのくらいだった。

――「好きな人ができましたから届けてください」なんて言えるわけないじゃない、ばかじゃないの――

部屋の電気を消してベッドに横になったあとも涙があふれ続けていた。いつの間にか寝てしまったらしく、翌朝は目覚ましが鳴らなかったために霞が起こしにきた。パソコンが机の上にそのまま置いてあるのを見て、戻すのを忘れていたことに気づき、霞に申しわけないと思った。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『アフターメッセージ』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。