コロナ休暇中に・北朝鮮のミサイル

3月14日

僕はまた早朝に庭に出てみた。「コロナ休暇」も、まだいつまで続くか分からない、そんな不安な気持ちではあるが、やはり庭に出ると落ち着く。その庭の様子は……東側の空は、明るさを増して行って、水色掛かった灰色になり、そのうちに、太陽のある辺りが、少し紫だって来て……白んで……それほど狭くもなく、舗装されている、我が家の前の通りは、早朝ジョギングする人やら、自転車通学するらしき人達が、通り往き交う。

……通勤の自動車などは、今のところ通らなくて静かで良いが、辺りは段々とやかになって来た。庭から、僕も朝食を取るために家の中に引っ込もうと思っている矢先に……。

先ほど、朝刊を、僕が郵便受けから取り出して行って渡してやった、後期高齢者にならんとする姉が、新聞を見て、こちらに向かいながら走って来て、何やら騒いでいる。

北朝鮮の金正恩が、またまた、世界中がコロナウイルスのショックでしているところなのに、新型ミサイルを発射して、世界中を驚かせているというのだ。その報に……僕も驚かされた。

思い起こせば、何年も前に、比較的右寄りで、この様な事に「特に問題意識」を持ったと言われている前総理大臣安倍晋三氏が、総理になる、ずっと以前に……僕はヨーロッパのポーランドに旅した。首都ワルシャワに宿泊し、早朝にホテルから出て散歩して、街中歩き廻って、英語で話しかけてみた青年が「日本人は、頭上に北朝鮮のミサイルが飛び交っているのに、なぜ撃ち落さないのだ、撃ち落せないのか? 日本人はなぜそんなに冷静なんだ!」と言った言葉を思い出した。……僕はその時、返す言葉も無かったが、結局……新型コロナウイルスが、世界中にしだして、大変な、この時期に……何でまた、ミサイルなのか?と思った。

この日の朝も終盤に差し掛かり、家に入って朝食を取って、僕は午前中いつもするように、眠気覚ましの珈琲をパーコレーターで入れ、後始末をして、ゆっくりと飲みながらテレビを見ていると……ニュースで、今年の桜の開花は暖冬の影響で、例年より早まり、あと数日で開花が見られるらしいと報じていた。あまりテレビを見ない僕だが、たまたま眼に映った桜の情報で、なにか日本人的な本能の、スイッチが入った。今年は絶対どこかに桜の花を見に行こうと決めた! 近所で一番豪華に咲いていて、しかも桜の情緒に満ちている場所に!

僕はここ数年間、桜の季節にだらだらとウォーキングで周った、数知れないご近所の桜の木々の、林やら、土堤やら、並木道、の果てには、旧家の農家の庭先まで……いろいろ見に行ったものだが……それらを思い出した。
 

※本記事は、2021年3月刊行の書籍『コロナ休暇の、あの日々に 僕のステイホーム方丈記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。