第一章 社会は変わる、変わるから新しい時代となる

私が体験した時代

私たちは時の移り変わりを日々の自然の動きで、特に太陽の光を見て実感します。たとえば朝目を覚まし窓から朝日が差し込むと、その日の始まりを実感します。同じように夕方、窓の向こう側の夕日が沈むと、一日の終わりを感じるものです。

時計は時を秒単位で表しており、私たちは時計の針の動きでも時を計ることができます。時代は時が集積したものですが、時代は時より期間が長く、さらに社会との関係も強く反映されることから、時代の認識は、時より複雑でわかりにくくなるものです。

時代の認識は分り難いものですが、時代を担う主役は、二つに大別されます。その一つは、「時代が政治や権力者等で治まり、一定の方向に向かうパターン」であり、二つ目は、「時代が政治や権力等でなく、ある種べつの力が作用し、社会が新しい一定の方向に進む」場合があります。

時代が、政治や権力者等で治まっている社会を具体的に述べてみますと、日本では貴族政治を打破し源頼朝が鎌倉で武力で築いた鎌倉時代があります。さらに戦国時代を制した秀吉の安土桃山時代、徳川家康が全国を統一した江戸時代等が代表的な例として挙げることができます。これらの時代はその時代を築いた権力者の名前や地名を採用した時代区分となっていて、わかりやすい時代認識となります。

私が本章で述べる「社会は変わる、変わるから新しい時代となる」の時代は、時代の主役が政治や権力者等ではなく、後者の「社会に今までと違う力が作用し、一定の新しい方向に進んでいる場合」になります。

本書では、時代の意味を、後者の「ある種、べつの力が社会に作用し、社会が新しい方向に進む場合」に絞り、新しい時代への対処法をアレコレ述べてみたいと思います。

私は社会に出て最初に就職したのが昭和四十年代の前半でした。その後は、厳しいアフリカでの船上勤務を含め七年間で二十あまりの会社を転々しましたが、その転職中に私が掴んだものが、「時代に合う職業、自分に合う職業」と言うフレーズでした。

フレーズの意味は、人は時代に合う職業に就くと楽であり、自分の性格に合う職業に就くと仕事が捗ることを言っています。昭和四十年代前半の日本の状況をかいつまんで説明しますと、戦後二十年あまりを経過した日本です。人間で例えると、日本はようやく親から独立して一人前の成人になった状況にありましたが、経済的には、まだ世界で発展途上国に位置づけされていました。

若さ溢れる発展途上国の日本。国内では田中角栄の提唱する日本列島改造ブームが沸き起こっており、全国で道路、港湾や高速、新幹線建設等のインフラ投資が行われ、国民もマイホームに強い憧れを持ち、官民共々が元気でハツラツとしていました。