年末には4月からの金融ビッグバンにむけて銀行の貸し渋りが問題化し、予測のつかない日本経済でした。内閣府発表の資料では実質GDP成長率は1.6%でした。

1998年(平成10年)も実質GDP成長率はマイナス2.0%で金融関係の信用不安や将来への不安から実体経済以上に悪化しました。3月には金融機関に公的資金投入が行われ、国内経済の悪化と東南アジアの経済不況の影響、さらに安価な輸入品との競合が拍車をかけ「悪い」「悪い」の1年間でした。

1999年(平成11年)3月には日本銀行がゼロ金利政策を実施し、5月には国内のレギュラーガソリンが全国平均1リットル90円の過去最低価格になりました。有効求人倍率は0.48になり、この時期は団塊ジュニアの卒業時期で就職難でした。

この年の実質GDP成長率はマイナス0.1%でした。我々団塊の世代にも非常にアゲインストの風が吹き荒れており、リストラや大手企業の倒産報道などの暗いニュースが紙面を賑わせました。

世界中から注目絶賛された日本流品質管理や終身雇用はどこへ行ったのか?と思いました。1990年(平成2年)ごろには失意のどん底にいたアメリカがIT革命と労働生産性の上昇で10年後には勝ち組のアメリカに変革し賞賛ばかりです。

日本国には長い歴史があるのだ、農耕民族で狩猟民族と違うのだ、急に経済も政治も変革できないのだと声を荒げても負け犬の遠吠えに聞こえます。

あの荒廃した戦後の日本経済の建て直しに一翼を担った重厚長大産業はどこへ行ったのでしょう。もう重厚長大の技術は不要なのでしょうか? いやいや、いつの時代でも必要とされると私は考えます。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『未来なに彩』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。