現存する二倍年暦──インドネシア(バドイ)からの報告

「二倍年暦」は人類史という大きな枠の中で考えてみると、いかなる分布圏において、いかなる時間軸で、何を背景として生まれたのでしょうか。東南アジアの他の地域でも実例が報告されているので、一つの仮説として雨期・乾期をその根拠として考える見方があります。

もっとも、インドネシア(ジャカルタ地域)における年間降雨量の平均値を見ると、雨期に当たる期間は一年の真半分ではありません。

大学セミナーハウスで行われた古田先生のセミナーにおいて、今回見つけたインドネシアの二倍年暦について報告と質問を行ったところ、会の終了後に物理学者の荒船次郎先生(大学評価・学位授与機構)から貴重なご教示をいただきました。

「地球の公転の関係で、赤道を挟んで、その北と南二三・五度の範囲内では一年の内に天中(太陽が真上にくる現象)が二度あります。そのことと何か関係ないですか」という内容の指摘でした。

確かに、先年「二倍年暦」の痕跡が報じられたパラオも今回のバドイも、その条件を満たしています。ただ、今のところそれに関連する事例を見つけることができていませんので、今後インドネシアの年間行事や祝祭日など、キキ君と情報を交換しながら調査を続けたいと考えています。