あたま

くびの深層、血管や神経がコードだとしたらまさにサイボーグみたい

頭部の切り離し

顔の浅層:顔面表情筋は全て顔面神経の支配を受ける。

口の周辺に顔面動・静脈を剖出し、上にたどって目頭の近くで眼角動・静脈となるのを確かめる。

目頭の炎症、感染が眼角静脈によって、眼窩から脳へと移り、脳膜炎を起こすことがある、と実習書に書いてある。耳下腺を剖出し、それを貫く顔面神経を探し出す。何しろ、表情筋の全てを支配するのだ。

咽頭、喉頭

脳出し:帽状腱膜を横に切断し、頭蓋冠を露出させ、眉弓と外後頭隆起のやや上で鉢巻状に、鋸で切る。ノミは骨を割る為の道具でなく、削る為のものである。骨の全層を切るのでなく、最後はノミで溝を割り広げる。骨に歯を斜めに当てて、軽く木槌で少しずつ削るもの。頭蓋冠を持ち上げて、蓋をはずすように、取り去る。

脳を取り出す:硬膜、軟膜、クモ膜

頭蓋の内面 脳の硬膜、大脳鎌と脳神経、下垂体

あたまの折半:ノコギリとメスで行う。

口腔の広がりを見る。人が死ぬとき、舌は後方に落ち込むので、生体と解剖遺体はかなり異なっている。

鼻腔、副鼻腔、前頭洞、蝶形骨洞、上顎洞、篩骨洞しこつどう、頭の骨の中に空洞があるとは知らなかった。

咽頭鼻部、耳管、顎関節

舌、運動は舌下神経支配、味覚は舌の前3分の2は舌神経、後ろ3分の1は舌咽神経。

再び副鼻腔、側壁、翼口蓋神経節

眼球:視交叉、眼球運動に関する筋肉と支配神経、毛様体神経節、視神経外鼻と鼻涙管

外耳、中耳、内耳、骨迷路、顔面神経麻痺3つの部位、鼓索神経分岐部、あぶみ骨筋枝、膝神経節

大脳、小脳、延髄、橋、第四脳室、大脳鎌という半透明の丈夫な膜で大脳は左右に分けられている、その溝を大脳縦裂という。

脳幹:正式解剖学名でなく、学派によって異なるが、大脳の折半と第三脳室皮質、レンズ核側脳室、尾状核など』

僕は余りの分量の多さに頭がくらくらしてきた。吐き気さえしてきた。まともに相手にしていては、医師になる前に自分が何らかの病気になりそうだ、と直感した。

しかし、大多数の学生がこれからも幾つかの関門をクリアしてゆくのだろう。ある者はやすやすと、ある者は追試という薄氷を踏みながらも乗り越え、さらにある者は脱落して消えてゆく。自分もどこでどうなるか分かったものではない。

そして、数々の試練をどうにか克服したとして、その先に待っていてくれるのは、たぶん本当に明るい未来だろう。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『正統解剖』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。