薬が原因で薬剤性肝障害を起こしてしまい、肝移植(患者さんの病的な肝臓をすべて摘出し、健康な方の肝臓を移植するという、ほかに治療法のない末期肝疾患患者に対する根本的治療法)を余儀なくされたり、最悪の場合は薬が原因で死亡してしまったような事例もありました。

やはり安易に薬に頼るというのは、いかがなものかと思います。あとでも詳しく述べますが、生活習慣病に関わる薬に関しては、生活習慣を改善して、極力薬に頼らない方がいいと思います。

例えば肥満が原因でひざ関節が痛いのであれば、痛み止めばかりに頼るのでなく、まずは体重を減らす努力をすべきだと思いますし、糖尿病であれば糖質の摂取量を抑えるよう努めるべきだと思います。

手術もそうですが、薬もやむにやまれず投与するものだと思います。逆に、患者さん自身が食事療法などで高血圧や糖尿病の値が正常化しているにもかかわらず、薬を漫然と投与し続ける先生にも注意が必要です。

そういう先生は「薬を飲んでいるから値がいいのであって、やめればまた数値が悪くなってしまうから、飲み続けて下さい」と言って、全く中止することをしません。

慢性的に飲んでいる薬で、数値が良くなったのであれば、いったんはやめて、状態を見るべきだと思います。薬は少ないに越したことはないのですから。

このように薬を出し続ける先生は「薬の信者」であることもありますが、同じ薬を出し続ける方が楽だからということも少なからずあるようです。

患者さんの処方やカルテの内容を、いわゆる「コピー&ペースト」したいのです。

「データは変わりないようですので、また同じお薬を出しておきますね。次回の外来は〇月〇日です」という感じです。薬の調整をすると、カルテもその理由を書かなければいけないし、「コピー&ペースト」というわけにはいきません。

少数だとは思いますが、「残薬があるから、今回は薬を少なく出してください」と患者さんが医師に伝えても、「今回も同じ量の薬を出させてください」と不機嫌になって聞き入れてもらえなかったという患者さんの話を聞いたことがあります。

このように薬の調整をしてくれない先生は患者さんのことを親身に考えていない可能性が高いと思われますので、ご注意ください。

※本記事は、2021年4月刊行の書籍『やぶ患者になるな!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。