ブラジル全土の投票結果が電子的に集計された結果である。日本の投票率は低い。だからといって、義務化すれば良い、という話ではもちろんない。投票することで自分の意思が政治に反映される、という意識を持って投票できることが前提。その前提が満たされれば、自ずと投票率は上がるはずだ。日本の公職選挙法では、投票の方法について以下のように規定している。

公職選挙法第四十六条(投票の記載事項及び投函)衆議院(比例代表選出)議員又は参議院(比例代表選出)議員の選挙以外の選挙の投票については、選挙人は、投票所において、投票用紙に当該選挙の公職の候補者一人の氏名を自書して、これを投票箱に入れなければならない。

2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については、選挙人は、投票所において、投票用紙に一の衆議院名簿届出政党等(第八十六条の二第一項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。以下同じ。)の同項の届出に係る名称又は略称を自書して、これを投票箱に入れなければならない。

3 参議院(比例代表選出)議員の選挙の投票については、選挙人は、投票所において、投票用紙に公職の候補者たる参議院名簿登載者(第八十六条の三第一項の参議院名簿登載者をいう。以下この章から第八章までにおいて同じ。)一人の氏名を自書して、これを投票箱に入れなければならない。ただし、公職の候補者たる参議院名簿登載者の氏名を自書することに代えて、一の参議院名簿届出政党等(同項の規定による届出をした政党その他の政治団体をいう。以下同じ。)の同項の届出に係る名称又は略称を自書することができる。

4 投票用紙には、選挙人の氏名を記載してはならない。つまり、当選してもらいたい候補者や、与党になってもらいたい政党がある時に、その名前を書いて投票する、というやり方。

では、自分の意思が政治に反映される、という意識が現状より高くなる(結果として投票率アップが起こる可能性のある)選挙・投票の仕方として、どんなことが考えられるだろうか? 意思決定の拠り所は、違和感(不快な感じ)だ。当選してもらいたい候補者や与党になってもらいたい政党がある時には、その名前を書くことに違和感が無い(か少ない)。

しかしながら、もし、これはといった候補者や政党が無い場合はどうだろう。難しい判断である。どの名前を書くにも違和感がある。ところで、この候補や政党には政治を任せたくない、という思いは、少なからぬ人が持っていると考える。

物事には、快不快のラベルが付いている。快や不快が強い物事は意識しやすい。任せたいという快のラベルの付いている候補者がいない場合、不快のラベルの付いている人(違和感のある人)の中で、不快の度合いが高く、政治を任せたくない候補を選択するのは、それほど難しく無いはずだ。

よって、投票用紙に記入する際の選択肢として、任せたい候補や政党を記入するか(プラス一票として加算される)、それが難しい場合は、任せたくない候補や政党を記載して投票する(マイナス一票として加算される)、というやり方が一つ考えられる。アイデアとしては以前からあるようだ。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『意思決定のトリック ―身近な体験に基づいた人間理解―』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。