次に、肝に銘じておかなければならないのは、「ものごとに唯一絶対の正解はない」ということです。

「これが最善の策である」「これ以外の方針はあり得ない」と思うのは、自分にとって「心地良く、受け入れやすいことだから」に他なりません。

しかし、上司の方針が異なれば、その方針に従うのが組織です。

感情的になって、単純に反発してしまうのは、もったいないことでもあります。なぜなら、上司の方針でやったほうがうまく「コト」が運ぶ場合もあるからです。

以下は、過去に職場で経験したことです。

ある部署で、業務の役割分担をすることになり、部署内で議論が行われていました。たまたまその場に居合わせたのですが、明らかに非合理的な分担になろうとしていたので、意見を言うべきかかなり迷いました。

「それは違います。こうしたほうが、はるかにいい配分になるし、きっと成果も挙がるはずですよ」。

自分としての「確固たる正論」があったので、思わず口をはさみたくなりました。

でも、部門長がすぐに「それでいい」との判断を下したので、そのまま受け流すことにしたのです。

しばらくして、その部署を顧みる機会がありました。

驚いたことに、非合理的と信じて疑わなかった業務配分がうまくいっているのです。よく見ると、役割分担が機能している背景には、担当者の適性や、担当者間の「微妙なバランス」が関係していることが分かりました。

常識的に見て、明らかに違うと思われることも、現場の諸事情や、論理では説明できない要素が加味されると、想定外の結果になることがあるのです。

以上の経験から、「唯一絶対」はないという現実を、改めて思い知ることになりました。

今振り返ると、「確固たる正論」とやらは、「会社のため」というよりはむしろ、「自分の考えを正当化するため」にあったような気がします。

「ものごとに唯一絶対の正解はない」という考え方や見方は、上司との人間関係にも活用できます。

特に、相性が悪い上司に対しては、ストレートに受け止めることを避け、曖昧な「グレーゾーン」を広くとって、ことに当たるほうが賢明とも言えます。

そのほうが、精神衛生の面でも間違いなく、はるかに良いのではないかと思います。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。