能力には色々なジャンルがあり、自分が苦手なこともあるわけだから、すべてを客観的に評価できるわけがない。更にグループメンバーの数が増えたら、もう手に負えなくなる。

管理職に対する適正なグループメンバーの人数のことを指す「span of control」という言葉を聞いたことがあるだろうか。

10名程度という説が多いが、例えば専門性の高いスタッフ部門のグループだったら3~5名が限界だと考える。

なぜならば、単なるワークシェアリングをしている働き方をしているわけではなく、クロスファンクショナルに多くの部署との連携をとっていることが多いからである。部下の人数を自慢する輩はどこにでもいるが、ちゃんと管理職の仕事を全うできているのか心配になる。

1日8時間で1月あたり21日を12ヶ月積み上げると、およそ年間2000時間を仕事に費やすことになるのであるが、あなたはそのうちの何時間をマネジメントに使っているのだろうか。そして、使えるのだろうか。

さて、自分のグループパフォーマンスについて包括的に評価してみたり、メンバー個々の特性に合わせたアドバイスを考えたりするとき、どんな切り口があるのであろうか。

個々のスキルだけを取り上げて、人の成長を評価したり、ある社員の開発ニーズを精査したり、人材育成プログラムを考えることはやめた方が良い。個々のスキルが成果にどう影響しているのかを因果関係を含めて説明するのは難しいからである。

では何を使うかというと、コンピテンシーモデルである。コンピテンシーモデルは体系的に研究・分類されているもので、コンピテンシーを発揮するためにも色々な環境条件やスキルの複合があり、実際にこういう人材が欲しい、こういう人材になってほしいというイメージを持ちやすいからである。コンピテンシーモデルを研究して、自分の組織で重視する行動特性を考えるのが良いと思う。

本来は、コンピテンシーは、自分自身で自らの成長促進ツールとして活用すれば良いのであるが、自分で自分のことはわかりにくいという側面があるので、やはり自分を客観的に見るための工夫が必要である。

また、全体調和的な感じで、コンピテンシーやスキルセットをまとめ全体研修で取り扱おうとすると、個々のメンバーが直面しているリアルな問題に触れにくくなるから、とても変な感じになる。よく聞く誤用の事例である。
 

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『管理職魂』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。