皆で仕事のことについて議論を交わすのも楽しみの一つではあるが、仕事とは全く関係ないことについてぺちゃくちゃお喋りをし、たまに飲みに行ったり、ショッピングへ行ったりできれば最高だ。つまり、私は労働者向きなのだ。

ビジネスの世界で戦うタイプではない。組織というものの中で上手くやっていけるタイプでもない。バイトをしながら、本を読んだり文章を書いたりできればそれでいい。弟夫婦と三人で飲んだ時に、弟はこう言った。

「俺みたいにさ、サラリーマンで上手くやって行ける人はそれでいいけど、姉ちゃんは違うだろ。かといっていつまでもバイトを転々としていればいいってもんじゃないんだよ。姉ちゃんには才能があるんだから腹を括らなきゃダメなんだよ」

「才能って何?」

「凡人じゃないっていうことかな」

「ただの駄目人間なんじゃないの?」

「そうとも言うね。だけど、自分で自分のことを駄目人間だと言ってしまうのは逃げなんだよ。芸能人だって皆そうじゃないか。サラリーマンにはなれない人ばかりじゃないか。それを駄目人間とは決めつけずに努力しているんだよ。姉ちゃんを見ていると無性にムカつくんだよな。普通の人間はさ、家にあるものを全部捨てて車だけでどっか行ったりしないんだよ。そういうことを他で活かせばいいのに」

ご尤も。私にとっては、会社の中で真面目に生きるというのは人生を無駄にしているように思えてしまうのだ。それほど組織というものが苦手で窮屈なのだ。弟はいい大学を卒業し、いい会社に就職して経済的にも安定し、結婚し家庭を築く。

姉は、何度も職を変え、住居を変え、三十歳を過ぎても結婚もせず、恋愛しても続かず、経済的にも不安定。弟の言う通り、どこかで腹を括らなければならないのだろう。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『破壊から再生へ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。