こんなふうに偉そうに書いていますが、佐久間艇長の話は、実は私もこのあいだ池間さんから言われて知りました。

それまでは、そういえば若狭道から小浜のほうに行く途中で"佐久間なんたら"と書かれた青い棒が立っていたな、くらいにしか思っていませんでした。

敗戦国という立場の哀しさのせいなのかもしれませんが、かつて活躍した軍人を歴史から抹殺していくのは、日本という国をこれからも保っていこうとするなら恥ずべき行為だと思います。

また、もっと小さい頃からこういった話を教えてもらいたかったとも思います。話がそれましたが、おばあちゃんは早くから総入れ歯だったので、よく痛いと言っては紙やすりなどで調整をしていました。

そのため、歯科大学へ通っていた当時の私は、歯科医師になったらおばあちゃんの入れ歯を作ってあげようと思っていましたが、大学3年の時に93歳で帰らぬ人となりました。

出棺の時、おばあちゃんに私が着ていた白衣をかけて、今までのお礼とおばあちゃんの入れ歯を作ってあげられなかったお詫びと、「歯科医師になったら、おばあちゃんのような歳の人にはおばあちゃんだと思って治療をしていきます」と書いた手紙を添えました。今でもその約束は心に刻んで診療しています。

そして、おばあちゃんくらいの歳の人が来られると、つい名前を呼ばずに「おばあちゃん」と言っている自分に気がつきます。

「おばあちゃん(年寄)っ子は三文安い」とよく言われますが、私の場合三文では足りず、六文くらい安かったかもしれません。

また、おばあちゃんっ子で言い訳するわけではないのですが、先日検診で保育園に行き、園長先生に

「虫歯の多い子は何か原因があると思いますよ。例えばおばあちゃんに育てられているからアメなど与えられて…」

と言ったところ、

「今どきのおばあちゃん、お母さんはキビシイですから、そんなに甘いものを与えたりしてないですよ」

と一喝されてしまいました。時代は変わっていっているのかもしれません……。

※本記事は、2017年11月刊行の書籍『日本のこれからをつくる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。