確認もしなかった自分を、しっかりと詫びるべきだ! 心臓の鼓動が口から漏れる中、メールを読んでから50秒後に返信しました。

「穴があったら、そこに入って死んでしまいたい気分です。訪問できなくなったことをご連絡せず、お待たせしてしまった大使には、何と申し上げて謝ったらいいのか、頭が真っ白です。このまま切腹させていただきたいほどの思いです! ご紹介していただきました〇〇様にもご迷惑をお掛けしてしまって、死んでしまいたいほど申し訳なく思っております。このご迷惑は一生謝っても足りないくらい反省しております!」

生きた心地もしないまま……。一刻も早くが優先した、ズタズタな文章での送信でした。すぐに返信が来ました。

「矢作さんからメールを頂いて、すぐに飛行機が飛ばなかったことと連絡をしなかったことを大使館員の方に伺いました。今、〇〇大使には連絡いたしました。矢作さん、大丈夫ですよ。大使は本当に矢作さんのお体をご心配されていらしたようで、女性が日本から、たった一人でリアドまで飛行機に乗って来られるということで、事故や事件に遭われているのではないか、そのことだけを心配していらしたとのこと。メールに書かれたようにそこまで思い詰めなくても、ご無事でしたら安心です、とおっしゃっていましたよ」

さらに

「今回、実現できませんでしたが、是非とも次回お会いできることを楽しみにしています」

とおっしゃっていらしたと、メールで伝えてくださいました。大使館員の方が、伝えるのを忘れていたと言ってくれたおかげで、救われました。安堵あんどの涙と喜びで、青白かった顔にもすっかり血が通い、天に昇る心地になるのでした。

そして2年後、リアドに向かいました。訪問前に手配していた車のドライバーが空港で私の名前の札を掲げ、待っていてくれました。車は物々しい厳戒態勢の道を通り抜け、2年前に訪問するはずだった国旗たなびく日本大使館に到着。

2年前に心配を掛けてしまった私を、秘書の方が出迎えてくださっていました。大使と奥様が待つ部屋の扉を開くと、目の前にお二人の優しい表情が私を迎えてくださいました。

あの時、ご心配をお掛けしてしまったお詫びを直接お伝えすると、「ご無事でいらして安心できました」と、現地では貴重な日本茶と和菓子で私をもてなしてくださいました。

訪問してから、一時間以上たくさんの話をして、たくさんのお話を伺うことができました。私がすっぽかしたあの時、もしも私が「自分は悪くなかった」と他人のせいにしていたらどうだったでしょうか。

この事態の主役は、何があっても、いかなる理由があったとしても、私でした。

そして迷惑を掛けたのは私なのです。

謝るということは、目の前の怖くて、高くて、厚い扉に向かうようなもの。逃げずに真っ直ぐ正面から謝れば、のちのステップも真っ直ぐ行くはずだといつも信じています。

 
 
※本記事は、2020年12月刊行の書籍『きょうは着物にウエスタンブーツ履いて』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。