会社は、収入を得たり、キャリアを構築するところであると同時に、生き残りをかけた「戦いの場」です。仕事ができるとかできないとか、職場が楽しいとかつまらないとか、業務がラクとかキツイという次元を超えて存在します。

まさに、「サバイバルゲーム」の場であると言えます。

長い会社人生、必ずどこかで、相性の悪い上司とも巡り合います。仮に相性は良くても、相手が損得勘定に長けた上司だと、使い勝手の良い「便利屋」として使われてしまいます。

かなり前になりますが、相性の良かった上司から、「くれぐれも、便利屋にだけはなってはいけないよ」と、アドバイスをもらったことがあります。

言い換えると、「器用貧乏にはなるな」とも受け取れます。当時、多少なりとも幅広い業務を、無難にこなしていたので、きっと、先々のことを心配してくれたのでしょう。

その上司はすでに他界していますが、この言葉は今も忘れることなく、心の奥底に刻んであります。

とはいえ、部下が上司を選ぶわけにもいきません。上司の評価次第で、思わぬ苦境に立たされることもあります。

「サラリーマンの悲劇は、部下は上司を選べない」は、なかなか的を射た格言であると言えます。付け加えると、「中間管理職の悲劇は、上司も部下も選べない」でもあります。

この「悲劇」にはまると、もうどうにもなりません。

相性の悪い上司と、言うことを聞かない部下が同居するのですから、悲劇を通り越して、ほとんど「喜劇」の世界です。笑ってやり過ごすしかありません。

会社組織の中で生きていくためには、たとえ上司との相性が悪くても、気が合わなくても、明らかに「嫌われている」と感じる時も、上司と上手に付き合っていくことになります。

上手に付き合いながら、組織の中をしたたかに、泳いでいかなくてはなりません。大変なことではありますが、頭の中を切り替えて、所詮は「好き嫌い」と割り切る必要があります。

では、実際に組織の中を生き抜くために、できることは何なのでしょうか。

次の章では、組織を生き抜く「サバイバル術」について見てみましょう。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『なぜ職場では理不尽なことが起こるのか?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。