しかし、そんな〔管理主義〕への抵抗感を深めていく生徒たちに寄り添う姿勢は崩さなかった。学年所属は1年生で、副担任を務めていた。

やんちゃなM男は、私の「カウンセリング好き」的な姿勢を感じ取ったからか、信頼を寄せてくれていた。しかし、2年目になり、少しずつ〔管理主義〕との距離感を近づけていった私に、「前はすごく良かったのに」と親御さんに愚痴をこぼしていると聞き、どうしたものかと悩んだりもした。

いずれにせよ「カウンセリング好き」は拙いが、さまざまな境遇にあり、心のケアが必要な生徒たちにカウンセリングマインドを持って接することの大切さを発信し続けていった。

大学の保健体育科の先輩でもあった指導主事が、その発信に理解を示してくださったことで、かなり救われた。

ところで、2年目に、民間校長で話題になった杉並区の中学校の教員が異動で赴任して来られた。面白かったのが、

「『かかとを踏むな』の指導は全く教育効果がない」

という研究結果が出ていると、「蠅叩き」を続ける教員集団に異議申し立てをしたのだった。

そういえば、話題の学校ゆえ、テレビでもよく取り上げられていたのだが、足下を映した映像には、かかとを踏みつぶしている生徒が映し出されていたのを思い出した。

果たして、「かかと踏みつけ」への指導は、どうあるべきなのだろうか?

そのままにしておいていいとは思われないだけに、悩ましいところだ。

ちなみに、次の移動先のS中学校で、上履きのかかとが気になり、踏んでいる生徒など一人もいないのに、「どうしても上履きのかかとに目がいってしまう」という職業病に、しばらく悩まされたのだった。

※本記事は、2021年1月刊行の書籍『教育現場の光と闇~学校も所詮〔白い巨塔〕~』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。