いくつかの段ボールを玄関まで運ぶお手伝いをし、恐縮するお客様に笑顔で、

「ご乗車いただきまして、ありがとうございました。おやすみなさいませ」

と見送った。いや、本当に良かったよ。しかし、いまどきの青年はリッチなのね〜!

常にハラハラと、さまざまな決断をしながら、今日も新米ドライバーは街を走っている。

運転手がマスクをしないわけ

最近、お客様からよく聞かれます。

「マスクしないんですか?」

「はい。弊社はマスクの着用が禁止されているんです」(2019年12月現在)

「えー! インフルエンザとか流行っているのに、それはキツいですねー!」

「そうですね。できる予防はしています。走行しているので、手洗いやうがいは、なかなかできませんけどね。感染予防の対策として、除菌ティシュで手や車内を拭いています。私自身はこんな仕事ですから、移るのは仕方ない部分もあるんですが、お客様に移したりしてしまうと悲しいので。お客様が触られるところもよく拭いていますよ。お客様同士で移し合ってしまうこともありますからね。あとはクレベリンというウイルスや菌を除菌してくれる置き型のモノも車内に置いてるんですよ。」

「へー、タクシーの運転手さんは、見えないところで配慮してくれているんですね。なんだかありがたいなぁ」

とこんな会話が近頃増えました。タクシーは具合が悪い方も、お乗せしますからね。

もちろん、病院送迎もあります。弊社の運転手はマスクの着用はできませんが、息を止めて運転するわけにもいかないですし……(笑)。

近頃、降車されるお客様にのど飴と、弊社のポケットティシュを差し上げています。

「ご乗車いただきまして、ありがとうございました。よろしかったら、のど飴をどうぞ。風邪が流行っていますので、予防に喉を潤してくださいませ」

大人のお客様に子ども騙しみたいですが、意外にも皆様、喜んでくださる。どうか、風邪を引きませんように……。

下車されたお客様の背中に願っています。皆様もお気をつけくださいね。今月も頑張りましょう!!️

 
 
※本記事は、2021年1月刊行の書籍『女タクシー日記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。