そこではショーと同じような自閉症の子、ダウン症、癲癇を持っている子供達等様々である。今までショーしか見ていなかった私にとっては衝撃なことであった。ただ、病弱な子供を見ていると、本当に可愛そうだとつくづく同情してしまう。ショーはまだ健康そのものだ。それだけでも救われた気持ちになる。

障害者を取り巻くコミュニティーには「養護学校」、養護学校内の「親の会」、「父親の会」、市内で活動する多数の障害者団体等がある。「父親の会」というのは、ショーが通う養護学校の先輩(父親)達が、母親の負担を少しでも軽減できるよう土日、祝日等、コンサート、ソフトボール大会など催して、子供達を遊ばせる会である。そして、たまには飲み会もある。

そこの会の先輩、同期と話すと本当に勉強になり共感することも多々あった。先輩、同期と言っても年齢も、業種、職種、職制も会社の規模もばらばら、なのに「障害児を育てている親」という共通項だけで仲良くなってしまうのは奇妙であり面白くもあった。

もちろん最低限の礼節はわきまえている。

そして、このようなメンバーとたまに仕事で絡むこともあり、まさに一石二鳥の会でもあった。

今では参加する人も少なく運営が難しくなっているという。

「父親の会」に参加しているうちに「障害」について、その広さ、深さ、複雑さがあり、簡単に説明できない位、多種多様であることが分かってきた。そして、その中で生活している障害者も障害者を育てているご両親もそれぞれ私の家と同じ、いや、それ以上に大変な思いをしている家庭もあり、私の家だけではないと本当に視野が広がる思いであった。

この世界には健常者の世界しかないと思っていたが、まったく異質の世界、障害者とその人達をとりまく世界があることに大きく目を開かされていった。

ただ、養護学校に入学してからが本当の意味で、ショーを育てることの大変さ、辛さ、困難、身内でさえもなかなか理解して貰えない歯がゆさ、そんな思いを肌で感じていくことになった。反面、仲間の大切さ、人、社会のありがたさなど心から感じて生きていくことになる。

その後、この物語はハッピーエンドで終わらなかった。
 

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『ショー失踪す!』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。