日本人と和

私は昔から集団行動が好きではなかった。苦手なのではない。集団の中で上手に立ち回る自信はある。しかし好きではないのだ。どうしても集団に入れと言うなら私をリーダーにしてくれと言いたい方だ。多くの人もそうなのだろう。私と同じように好きではないが我慢しているのだろうと、なんとなくそう思っていた。しかしどうやらそうとも言えないようだ。

以前テレビを見ていて気になったことがある。リオデジャネイロオリンピックを目指す体操競技で各選手が「団体での金メダルが悲願である」と強く語っていたのだ。日本は一九七六年のモントリオール大会以来、団体総合で金メダルを取っていない。そしてリオではそのチャンスがある。だから団体総合の金メダルが目標だ、というのはもちろん理解できる。

しかし個人が最も目指すべきは個人総合金メダルだろうと私は思う。それを言うのが大人げないので団体ということにしているのか。しかしどうもそうではないらしい。本気で個人の金メダルよりも団体での金メダルが大切のように見受けられる。私は非常に違和感を覚えた。でもこのニュースを見た多くの日本人は違和感を覚えないのかもしれない。

私が非常に嫌っていることに「エスカレーターでの片側一列並び」がある。これをマナーだと勘違いしている人もいるようだが、最近になってメディアでもその危険性が指摘されるようになり、徐々にではあるがこれが似非(えせ)マナーであると理解する人も増えてきているようだ。なぜこのルールが広まったのだろう。一説によるとイギリスから輸入されたものだという。

しかしそれにしても日本で爆発的に広まったのには日本独自の事情があるに違いない。それは「他の人と同じ行動を取りたい」という日本人の気質に原因があるのではないか。ためしに片側一列並びをしているエスカレーターで、自分だけ反対側に立ってみるがいい。「あの人ちょっと変な人かな?」「じゃまな奴だ」などと思われているのではないかと落ち着かない気分になるに違いない。重大事案でもないのに他人からそんな目で見られるぐらいなら皆さんと同じ側に並ぼう、と思うのではないだろうか。

これが「和」だ。