しかし、しっかりと見極めてきちんと使えば切れ味の良い薬で、アトピー性皮膚炎での外用の場合、きちんと使えば副作用を気にする必要はおよそないでしょう。

ただ、きれいに治らず再発を繰り返す場合は問題があります。それは薬の選択の問題もあれば、言われた使い方ができていない場合もあります。

さらにスキンケアやその原因に対するアプローチがなされていない場合もあります。一方、漢方薬による治療は賛否両論があるものの根強く続けられています。

今や漢方薬の薬効自体を疑う人は少なくなっています。実際、科学的な側面から、さまざまな治療効果や作用機序などが解明されています。

また医師の中でも漢方薬の使用経験がある人は全体の過半数を超えます。ただ、その使い方が難しいのです。今一般に使用されている西洋薬は単一成分であることが多く、基本的な作用機序は一つです。

したがって効果も副作用もわかりやすいともいえます。しかし漢方薬は多成分が含まれており、実際に使用する場合一つの漢方薬がいろいろな効果を示すことも少なくありません。

例えば葛根湯のように肩こりとカゼというようにいくつかの異なる症状に作用するものもあれば、八味地黄丸のように尿量が少ない場合にも多い場合にも使われるような正反対の作用を併せ持つものもあります。

さらに一定の生薬量で規定された漢方処方ですらそういった状況であるので、生薬の量や種類を加減したりして使う場合は、その作用を完全に把握していくことがより難しくなります。

これらの漢方薬を用いていく際、患者さんによりその症状は変わってきますので、通り一辺倒な方法では十分に効果を発揮させにくくなります。

そういったことを含めて、今のところ西洋医学の病名による分類だけでは漢方薬を完全に使うことは難しいと考えられます。もちろん漢方薬の中には、副作用も少なく、ある状況にまず試してみるといったことが出来るものもたくさんあります。

けれども、やはりこの多成分系の薬物をうまく扱うには、少なくとも旧来の方法も合わせることが良いように思われます。つまり漢方の見方で患者さんの状態(証といいます)を捉えて、漢方薬の性質を考慮して用いる方法も同時に使うのです。

また反対に一部の症状のみを捉えて漢方薬を使おうとすると、目的とは全く逆の作用をすることもあり、単に効果が出ないだけならまだしも、副作用が出てくる場合もあります。

さらに長期間服用するべきではない薬を漫然と服用していることもときどき耳にします。

簡単にかゆみトラブルにおける、西洋医学と中医学の治療、特徴を示してみました。