ある声優さんとのおつきあい

高校のころ、アニメブームがあった。

アニメ専門雑誌が発行されるようになり、それまで顔を出されなかった声優さんたちの顔が紹介されるようになった。

いろんなアニメに登場される、とある声優さんが大好きで、その方の写真を見てますます好きになり、ファンレターを書き続けた。

大学2年生のある日、その方から電話をいただいた。福岡に仕事で行くから会いましょう、と。突然のことにびっくりし夢見心地だった。

福岡のNHK放送センターの収録現場で初対面。以来交流が続いている。先日、久しぶりに仕事で福岡に行くと連絡があった。1泊2日の滞在。

夜のイベントのために昼過ぎに到着、そのまま会場に行き、リハーサル、本番。翌日は12時発の便で東京に帰られるというあわただしいスケジュール。

せっかく楽しみにしていた会食の時間はなかった。到着便を聞いていたので、出迎えた。空港で少し話し、会場への途中まで同乗させてもらった。

翌日は午前9時に滞在ホテルのロビーで待ち合わせ、お茶を飲みながらおしゃべりし、空港までご一緒して見送りした。

自分の親くらいの年代の女性。今も仕事を続けていらっしゃる。声優の後継者をたくさん育ててこられた。朗読講座の講師もされていて、その教え子さんたちも今あちこちで活躍されている。

仕事を持ち、主婦として、母として、どれも見事に務められ、ソシアルダンスやクラシック音楽など趣味は幅広く、いつまでも若々しく魅力あふれる女性。

30年以上おつきあいいただいているのが当たり前になってしまったが、これはすごいことなのかもしれない。

芝居が好きな人たち

その仲間とは年に一度しか会わない。

毎年10月から12月に芝居公演をやるグループ。友人夫妻のお手伝いをきっかけに、そのメンバーと親交を深めた。

海外赴任から東京に戻った友人は、日本文化を勉強しようと落語を教わるようになった。その後芝居も習った。友人は、芸達者が揃う芝居学校で1年一緒に学んだ仲間たちと老人ホームの慰問を始めた。

やがてNPO法人を立ち上げ、それを機に芝居公演をやった。年1回の公演が今も続いて、今年(2013年)12月は8回目だった。深川の江戸資料館小ホールでの第1回公演を私は客の一人として鑑賞した。2回目から受付・雑用のお手伝いとして参加している。

一番長く関わった時は、2日間の公演の前日の準備、リハーサルから1日2回の公演の受付、その他雑務をやって、打ち上げまでいた。

毎年この時期に長期休暇を申請して上京している。2009年から今年の夏までグアム、その後北海道に赴任した友人夫妻とも、この公演でしばらくぶりに会う。

会場では、出演者やスタッフの方々とはなかなか話ができないが、一日が終わると有志で食事にくり出し、おしゃべりする。

何度かお手伝いするうちに親しくなった皆さんとの芝居談議は面白い。舞台ができあがるまでの苦労や裏話も聞く。仕事を持ちながら趣味で舞台に立つシニアの方々の熱意や元気に励まされる。

公演の時にしか会えないが、逆に公演があるから、毎年一度は会える。

これからも毎年続いて、毎年顔を見られるだろうと楽しみにしている。