2章 これまでの重大事故(フェール)

1.福知山線脱線事故

2005年(平成17年)4月25日JR西日本、福知山線で脱線事故が起こり、乗客107人が亡くなり、492名が重傷を負っている。事故は7両編成の快速電車を運転していた運転士が遅れ時間を取り戻そうとして制限速度を超える時速115㎞を半径304mのカーブに進行して、脱線転覆して起きている。このカーブにはATS(自動列車停止装置)がまだ設置されておらず、転覆した列車は線路脇のマンション外壁に衝突している。

通常であれば次のようなATSが作動して緊急停止している。ATSは筆者も担当管理した経験があるが、3つの独立した回路からなる速度計数装置が併設されており、2つ以上が同一速度を検出し、(すなわち多数決が成立した場合)で、かつその速度が所定内である場合のみ走行し続けることができる。

多数決成立をチェックすることにより検出装置の健全性を確認し、速度の計数により速度が安全範囲であることを検出確認している。それ以外の場合は緊急停止としてフェール・セーフを確保している。この列車は停止するという絶対安全処置を取っているわけである。これが不十分な場合には安全が保証されないことになる。

2.笹子トンネル天井落下

2012年(平成24年)12月2日、中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故である。東京側から約1.6㎞付近でトンネル換気ダクト用に設置された天井板が138mにわたり落下し、9名の命が失われ、多くの人が被害にあった。

これは設備老化が事故の原因でマニュアル打音検査を行うことにより危険を予知し、安全保守を行ってきた。これは検査保守という方法により安全を確保しようというものであるが、安全確認が主観的、かつ定性的なものであり、人員管理も不徹底になりがちである。

センサー多数を分布配置し、後に述べるワイヤレス給電付きドローンで自動的かつ定期的に循環監視する方法もある。また全国には40年を超える老朽化が進んだインフラも増えている。これの安全確認が急がれる。定期点検の完全性と設備の老化保全が不足していたのである。

※本記事は、2018年11月刊行の書籍『「フェール・セーフ」に学ぶ災害対策論』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。