しかし、職員の方の陰での支えなくして、子どもたちの幸せな学校生活は成り立ちません。いつもごみの処理をしてくださる用務員さんや、書類をまとめてくださる事務さんへの感謝の言葉と行動が、チームの結束を固くするのだと思います。

また、職員室に出入りする出版業者や事務用品業者の方への挨拶と感謝も忘れずに。教職員のみなさん、子どものために手をつなぎましょう。

子どもは敏感です。我々の仲のよさはすぐに伝わり、必ずよい効果を生むでしょう。あなたは職場の方々と、どのような関係を作っていきたいと思っていますか。

進路編~義務教育から羽ばたく子どもにできること~

中学校で行われる進路学習では、将来幸せな人生を送るためには、どのように生きればよいかを考えさせることが大切です。

よって、「高校の選択」は、その進路学習の一部であり、第一歩となります。高校の選択が進路学習の目的ではありません。小学校から中学校は義務教育なので、ほとんどの人が同じように、地域の中学校へ進学します。

しかし、中学校卒業後は、自分の進むべき方向にむかって、それぞれの道を生きていく訳です。

誰の前にも道はなく、その道は自分で作っていくものなので、自分の進路を自慢したり、卑下したりする必要もないし、他人の進路をうらやんだり、おとしめたりする必要も本来はありません。

では、現場ではどうでしょう。子どもたちの中には、学力で高校をランク付けし、低い高校を馬鹿にする雰囲気がある子もいます。

しかしそれは絶対に避けなければならないことです。どの高校にもがんばっている教師や生徒がいるのですから、そんなに失礼なことはありません(学歴社会の弊害でしょうか)。

例えていえば、受験する高校を山だとします。

富士山には富士山のよさがあり、地元の山にはその山のよさがあります。どの山に魅力を感じるかは人それぞれです。

比べられるものではありませんし、自分が登っていく山が一番だと思うことができればそれでよいのです。

また現場ではよく「将来の夢が決まっていないから、高校が選べない」という相談を生徒から受けます。私は将来の夢なんて決まってなくてもいいし、それが変わることも素晴らしいと言っています。

中学生までの人生経験で、見たり、ふれ合ったり、体験できたりする職業なんて、相当限られているからです。自分の本当にやりたいことが、その枠の外にあることだって、あると思うのです。

だから子どもには若いうちから、好きなアーティストのライブを見に行ったり、観劇したり、アルバイトをしたり、楽器をはじめたり、職人さんと話をしたり、さまざまな経験をしてほしいと思います。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。