約二年前に胆管がんで手術をしましたが調子が悪く、何回も入退院を繰り返しているようでした。最近になって肺への転移が見つかり胸水も溜まっているため、呼吸状態は決してよいものではありませんでした。

家族は奥さんと二人の娘さんがおり、娘さんたちは独立して近所に住んでいました。基本的には奥さんとの二人暮らしでしたが、娘さんたちのサポートも得られる状況でした。

病院ではすでに、胆管がんという診断名も、肺への転移も説明されており、本人は自分ががん末期の状態であることもしっかり認識しているとのことでした。

ある違和感

初診前の情報では、在宅看取りとしてはよい条件がかなりそろったケースであるかのような印象でしたが、Gさんの場合は少し違っていました。Gさんに自分の病気をどう考えているのか、やんわりと質問してみました。

「ご自分の状態をどんなふうに思われていますか?」

という私の問いに、

「体重が二八キログラムも減ってしまい、がん末期です。痛みが出なかったら家で好きなことをしようかな……」

とGさんは言います。そして次のように続けました。

「いかんかったらいかんで、悟っています」

と。この二番目の言葉が少し気になりましたが、自宅療養でも疼痛は十分治療できることをお話しして初診を終えました。

しかし、さらにもう一つ違和感を覚えることがありました。

末期がんの看取り状態、しかも本人は「家にいたい」と明言しているのに、週一回デイサービスに行くというのです。

私たちの初診の時点で、ケアマネジャーはすでにこの家庭の問題に遭遇しているようでした。

ワンマンを突き進む

初診後の大きな問題の一つは、薬の服用が確実にできないことでした。奥さんが一緒にいるのに、身体の衰弱したGさんが薬の管理をしており、飲み忘れが非常に多かったのです。