文章のスタイルに喩えれば、作者に特有な文章表現や文体になります。同じ家庭環境で育った双子が、全く同じライフスタイルを持つとは限りません。

つまり、ライフスタイルは、同じ環境であっても、機械的に決まるというものではありません。

アドラーは、当初

「ライフスタイルは幼児期の四、五歳までに原型ができ、その後より定式化されたライフスタイルへと発達する」

と考えていましたが、現代アドラー心理学では、十歳頃までに形成されると考えられています。

ライフスタイルを構成する三要素現代アドラー心理学では、ライフスタイルを自己概念、世界像、自己理想の三つの要素で定義しています(図2)。

図2

自己概念は、自分をどう理解しているか、あるいはどう自己認識しているかです。器官劣等性や劣等感なども自己概念に大きな影響を与えます。

「自分は~である」という自分に対する認知が、自己概念です。世界像は、自分を取り巻く環境に対する自分なりの認識です。

環境では、家族布置ふち(きょうだいの数、誕生順位、性別分布など)と文化が挙げられます。「世界は~である」という世の中で生じている出来事に対する認知が、世界像です。

自己理想は、自己概念や世界像に対する理想のイメージです。「私は~であるべきだ」という理想に対する認知が、自己理想です。

このように、ライフスタイルは、自分や世界への意味づけ(認知)ですので、自分でライフスタイルを決定することも変えることも可能ということです。

ライフスタイルは、本人にとって当たり前すぎてわからないことがありますので、意識化する必要があります。

ライフスタイルでライフタスクに立ち向かうアドラー心理学では、「ライフスタイルは、ライフタスクに対する答えを条件づける」と考えていますので、ライフスタイルは、ライフタスクへの対処の仕方になります。

具体的には、ある人のライフスタイルとライフタスクが相互に関わり合って、優越性追求の行動を起こし自分の求める理想に近づいていきます。

優越性追求の行動=ライフスタイル×ライフタスク

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『もし、アドラーが「しゅうかつ」をしたら』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。