③過去を思い出す状態

言い換えれば、記憶を参照している状態。①や②のプロセスの一部にもなるが、思い出すこと自体で完結することもある。

例えば、アニメのキャラクターを画用紙に描いたら、友達に上手だと賞賛されて嬉しくなった状況を思い出して、その心地良さを反芻して味わっている状態。

なお、あの時どうしたんだっけと言葉で考えながら思い出すのは思考だが、言語が介在せずいつの間にか過去に見た風景が思い出されているような場合は、思考には入らない。

ただ、いつの間にか風景が思い出された場合でも、この風景は何だっけとすぐに言語を使い始めるのが普通。言語を使い始めたら思考である。

④ストーリーを作る状態

①や②のプロセスの一部にもなるが、ストーリーの創造自体で完結することもある。

例えば、本書冒頭の「何ニヤニヤしてるの?」「そ、そうかな。」「何考えてんだか…」で、ニヤニヤしているのは、③の過去を思い出している可能性もあるが、今後こんなことが起こったらいいなというストーリーを組み立てながら、快を味わっていることも考えられる。

明日の遠足で、あの子と一緒にいることを想像して、ニヤニヤ。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『意思決定のトリック ―身近な体験に基づいた人間理解―』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。