結局、過労では保険は降りないということを聞いて帰ってくる。私は筋トレと歌の練習を繰り返すことによって、三カ月後には会社に復帰した。会社で待っていたのは黄色い歓声。

「蓮ちゃん、お帰りー」

私は唖然とした。この三カ月間、誰からも電話がこなかったのだ。部屋に一人で過ごす三カ月間はあまりにも長かった。誰かが電話一本くれたら、どれほど救われたことだろう。会社に戻っても私の存在を誰も覚えていないのではないかとさえ思っていたのだ。

「心配していたのよ。元気そうで良かった」

いやいや、やっとの想いで元気になったのだ。この会社にいる全員は、私が頼る人も無く、一人で部屋にいることを知っている。

ほとぼりが冷めた頃に声をかけるのは簡単だ。人間は元気で健康な時はいいが、体調を崩し、働けない状態になるととてつもない不安に襲われる。自分のそういった経験からも、私は孤独な人間が弱っていたら声をかける。