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意識の仕組みとその有効性

これまで、意識的、という言葉を使ってきたが、そもそも意識は、どんな動きをしているだろうか?

夜間の眠りから覚める時(意識のない状態から意識のある状態に移る時)のことを思い出してみる。

例えば、自然な目覚めであれば、今何時頃かな、今日は何曜日だっけ? と思いながら目を開ける。周囲の風景が、寝る前の記憶と食い違っていない場合は、そのまま時計をチェックする。風景に違和感がある場合は、ここはどこだったか考える。

そして次の行動に移る。このことから、意識には、まず「次のアクションを取るうえでの前提条件を確認」する動きがあることがわかる。

なお、自我が継続していることは、大前提。自我が継続していないような意識は、体験したことがないので、分析できない。

行動の続き。オシッコがしたいなと思いトイレに行く。オシッコでパンツを濡らさないように、先にパンツを下ろしてから、オシッコを始める。

ホッとしつつ、今日の予定とかをあれこれ考える。オシッコが終わったら、パンツを上げて、水を流す。喉が渇いた水が飲みたいと思いながら、まず手を洗わなきゃ、と考えて、洗面所で手を洗う。

このことから、意識には、「アクション目標を確認」し(オシッコをしよう、手を洗おう)、「そのアクション目標を達成するための一連のアクションを確認しつつ実施」する(オシッコしにトイレに行くために、まず立ち上がり、ドアを開け……)動きがある。

さらに行動の続き。公園に遊びに行くので、外に出る。晴れて気持ちが良いなあ、と思う。自転車を漕いでいると、花のいい匂いがしてきたので何の花だっけと考えたり、自転車が通れるよう道を空けてくれた人にお礼を言ったり、そうこうするうちに、公園での遊びのことをいろいろ考えていると、いつの間にか公園の近くまで来ている。

この、いろいろ考えながらいつの間にか公園の近くまで来ている、ということについて考えてみる。実際は、考え事をして自転車に乗っている間に、信号待ちをしたり、人を避けたりしていたはずだが、記憶が飛んでいて全く思い出せない。

しかしながら、考え事をしていた間も、目の前の風景を見て、車の走る音を聞き、空気の匂いや風を感じ、それらの情報を踏まえて、適切に判断しながら自転車に乗ってきている。

ということは、外界の情報は入って来てきちんと処理されているのに、殆ど意識には上らない、ということを意味する。

なおここでは、思い出せること≒意識されたこと、を前提としている。意識したことは、少なくとも短期的には記憶される(もちろんすぐに忘れる場合もあるが)、という実感が根拠。