野仏が頬をゆるめて見てござる山あじさいの小さき花ばな
紫陽花の藍に染まりし体にて留守居の夫に電話をしたり
線香の香りを含む初夏の風射干の花群揺らして過ぎる
※本記事は、2015年3月刊行の書籍『歌集 祈り』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。
歌集 祈り【第20回】
―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする―
夜明けに人知れずそっと咲く花のように、
それでいいんだよ、と許してくれるような、
自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。
心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。
野仏が頬をゆるめて見てござる山あじさいの小さき花ばな
紫陽花の藍に染まりし体にて留守居の夫に電話をしたり
線香の香りを含む初夏の風射干の花群揺らして過ぎる