この機能がしっかりと働いていることが重要です。汗をかきにくい方、尿意があっても出る量が少ない方、強い疲労時、などには熱とともに水が体の中にこもることがあります。

すると、膀胱炎のような症状や手足のむくみ、食欲不振、体のだるさ、あせも、じんましん、足の冷え、関節の痛みといった症状が出てきます。これは多くのかゆみトラブルの方にとっては大変なことです。

もともと水を代謝する力が弱い方が多いので、こういった症状が起きやすいのです。すると、皮膚ではジュクジュクした浸出液や熱感を伴う強いかゆみが出てきます。梅雨から夏の悪化の典型です。

やはりこの状況でも大事なことは、「水が動いていること」です。水分の取りすぎ、体の冷やしすぎに注意し、少し汗をかいて、「今は夏なんだ」ということを体に気づかせてあげましょう。

(4)秋

暑い夏から、寒い冬への移行期です。

秋の始まりの頃は、朝夕が涼しくて、日中が暑いという日が続きます。通常、夏には人は汗をかく態勢を取っていると考えられます。暑くなったら素早く汗をかいて体温を下げるためです。

それが、朝夕が涼しくなるものの、日中は暑いので、まだその態勢を取り続けている場合が多いのです。湿度は次第に下がってきますので、発汗が強くなると、体は次第に乾燥してきます。

秋は乾燥の季節と言われますが、乾燥してくるとかゆみが出てくるタイプの方は、徐々に悪化してきます。この場合、大汗をかくことを控えめにする必要があります。

大汗をかくと、発汗しやすい状況が続く可能性があるからです。ただし、全く動かなくなるのは問題ですので、体を動かされている方はぜひ続けてください。

一方で、汗で出ていく潤いになるものを取り入れる必要があります。この季節に採れる、ナシやブドウは昔からこうした潤いをもたらしてくれるものとされます。

そして、秋はその他の野菜や果物もたくさん取れる時期になりますので、夏場のさっぱりした食事から、秋に採れる食べ物を中心とした食事に変えていくのも必要になります。

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『かゆみの処方箋』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。