また、教師の想いをはっきり言うことも大切です。初めは「納得いかないことがある」と言って来校された方も、信念をもってやった教育活動であれば、教師は丁寧に粘り強く想いを伝える努力をするべきです。

なんでもかんでも謝って、親の言ったことを聞き入れる教師よりも、よっぽど信頼してもらえると思います。

一度、学校の教育活動に疑問をもった父親と話し合いになった時も、どのような想いで指導をしたのか、またどのように指導をしたのかも指導記録と照合しながら、丁寧に話しました。

「ここに来るまでは少し納得いかないと思っていたけど、誤解がとけたよ。先生がそんなにうちの子のことを考えてやってくれたなら納得だ。先生なかなかやるな。これからも応援するで、うちの子を頼むよ」

と言ってもらったことがあります。真剣に子どもを幸せにしたいと思っていれば、必ず伝わるものだと感じました。

教師は保護者に説明できる教育を展開するという視点も大切です。

少し話は変わりますが、私が保護者の立場に立って考えることが大切だと思えたのは、自分の子どもが生まれたとき、妻が全身を包帯に巻かれ、身動きも取れないほどの大病を患い、しばらく家事を行うことがあったからです。

休日は朝起きてから、「すぐに洗濯機を回そう、その間に子どもたちの朝食を準備して、たぶん朝食を食べ終わる頃に洗濯が終わるから干しに行って……」なんていうプランを立て、最速でそれをこなそうとするのですが、子どもが一緒に遊ぼうと誘ってくれたり、朝ご飯をこぼしたり、常に予定外のことばかりが起こるのです。

可愛いわが子とも一緒に遊びたいけど家事もしなきゃという板ばさみ……。家の中には、この大変さに共感してくれたり励ましてもらえたりする大人もいません。