「撮らせて」

「いいよ」

「入って」

「えっ! 一緒に撮るの?」

「うん」

そう言いながら彼女はすでにレンズを覗いていた。私はどんなポーズをとったらいいのかわからず、車の荷台に軽く片手を置き笑顔を意識したが緊張した。

あっという間に撮影会は終わり、

「写真、またメールで送るわ」

彼女は笑いながらそう言うと、カメラを自分の車に置きにいった。

私の車に乗り込み、どこにいこうかと話し、街へ出て、買い物と食事をしようということになった。

すると彼女は、バックミラーにかけてあるエアーフレッシュナーを指差し、

「これ何の匂い?」

「これ、ココナッツの香りなんだ」

「そーなんや、匂いきつくない?」

「あー、新しいのに取り替えたからきついかな」

「うん、ちょっと」

彼女は笑いながらそう言った。

「そっか、窓開けるか」

「これ、どうやって開けるの?」

「左ハンドルなんや、運転しにくくない?」

「ギアはどこなの?」

彼女はただの疑問なのか興味なのかはわからなかったが、いろいろ訊いてきた。

道中話は絶えなかった。助手席に座る彼女の姿をたまに見ながら話をすることが何とも新鮮で嬉しかった。