一つ目は駿河湾に育ちつねにそこで暮らしている自分はわんを出てしまうと十分な力を発揮はっきできなくなってしまうこと

二つ目は前後ぜんご左右さゆうあらゆる方向から波を受ける船を助けるには一つの身体ではとても無理むりであること

三つ目はせいぜいシロナガスクジラ程度の大きさの自分では千石船くらいまでが助けられる限界げんかいだろうしそれ以上の大きさの船では自分一人の力ではとても助けられないということ

それらのことを知ってスルガザウルスは自分がいったいいくつの身体を持てるのかためしてみました

こたえは六つやっぱり最初は別々べつべつな六ザウルスだったからでしょうか

それ以上に分かれると霧やくもに変わった時と同じで意思を持った自分の判断はんだんによる行動ができなくなり風などの助けが必要になってくるのです

六つの分身に分かれることを覚えたスルガザウルスは千石船のような大きな船も助けられるようになりました。

あらしのように海がくるう時には逆巻さかまく波に翻弄ほんろうされて自分一人では大きな船の安定あんていたもてませんでしたが

六つの分身になれるようになってそのうちの二人が船首せんしゅの左右に位置して船首を常に波の来る方向に合わせ

残る二人ずつが船の左右の側面そくめんにそれぞれついて不意ふい横波よこなみで船が転覆てんぷくするのをふせぐようにしたのです

六つの分身といっても以前のアシノザウルスなどに戻るというのではありません

スルガザウルスの分身①~⑥になるのです

やや小型の六つ子のスルガザウルスになったようなものでそれだからこそ意思も共有きょうゆうできるし話し合いなどしなくても常にワンチームとなって協力し合えるのです

千石船のどこを誰がとするのかも自然にさとれるのです

 
※本記事は、2021年2月刊行の書籍『スルガザウルスって知っていますか?』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。