アメリカ合衆国通商代表部と大統領の科学アドバイザーはコメントを挟むことはあるが、ビッグ4が求めることにめくら判を押すような感じである。

司法省と国土安全保障省はFBIやその他の機関から受けた情報を提供する。これにCIA、DIA(国防情報局)、NSA(国家安全保障局)などからの情報が加わるが、それでもこれらの省庁は取引のメリットなどに関し声を上げることはほとんど無い。

CFIUSは合意で動くグループなのだ。もし国務長官がウラニウム・ワンを強硬に進めたとすると、国防長官と財務長官はそれになびくのだ。と言うのは武器のシステムやテロリストへの資金供与といった直接担当するテーマを侵害するものではないからなのだ。

他のメンバーは黙っている。もし、ホワイトハウスが国務長官に異議を挟まない限り、彼女のその取引への強固な支持は簡単に通ってしまう。

第2のヒラリー・クリントンの行動に対する防戦策は「アメリカ国内のウラニウムはどこへも行かない」という論点に要約される。ウラニウム・ワン(究極的にはロシア)に支配されているアメリカのウラン鉱山はワイオミングにある。

確かにこの鉱物は持ち出せないし、そこで製造されたウラニウムが例えばイランのような敵国に出荷されることは無い。しかしこれも表面的な言い訳にすぎない。

この彼女の擁護論が見逃している点がある。ウラニウムという物質は通常イエローケーキと言われる濃縮加工ウラニウム酸化物UOの形であれば世界中の市場で売買される代替可能な商品なのだ。

ウラニウム・ワンはカザフスタン、アメリカ、タンザニアに鉱山を保有している。親会社ロスアトムを通じて直接、間接にイラン、ロシア、中国を含め顧客が世界中にある。

ロスアトムによるウラニウム・ワンの買収前にはアメリカの原子力発電所はカザフスタンの鉱山から供給を受けることができた。

買収後はロスアトムはウラニウム・ワンに対し、供給契約をUSからUSへの取引とする指示をし、カザフスタンの産出分はイランへの供給に充当することが可能になる。

現実には3者間取引で簡単な供給者の入れ替えでワイオミングのウラニウムをイランに供給していることになる。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『AFTERMATH』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。