【人気記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない

旅の献立

もう随分と前になりますが、ひとりで遠方まででかけることが、酷くおっくうなことがありました。

重たい荷を背負い、何時間も電車に揺られて行く。たったひとりでそんなことまでして山に行きたくない、そう思える時期があり、年にたったの3回しか山行回数を数えない年もありました。

それは特殊な事例としても、2009年には過去最多の30回を上回る山行回数を計上しました。むさぼるように歩いた、そんな表現がピッタリでした。

山に対する意識とか情熱とか、そういうものも影響しなくはないのですが、3年前に受けたちょっとした手術の後は体力がガタ落ちしていましたので、それが一番大きかったと思われます。

自分なりに試行錯誤、工夫しながら、そうすることによって元の体力を取り戻そうとしたのです。要は、実地トレーニングです。もっとも、50歳を過ぎればそう簡単にはいきません。

若い頃ならすぐに回復したかもしれませんが、今では体力を落とさず、現状を維持し、せめて低下させないようにするのが精一杯です。右肩上がりに向上させるためには死にもの狂いな努力が必要になり、かえって無理がたたり、思いがけないケガや病気につながり、下手をすれば命さえ落としかねません。

心筋梗塞、クモ膜下出血など、そんな不意の災いだって降りかかりかねない年代です。思うところあって、3000メートル峰に上がってみるのも一案だと考えます。

3000メートル峰の酸素量は平地に比較して希薄なため、そうした場所に行くことで体が少しは元気になりはしないか、そう思ったのです。過去にも、そうした実体験をしていたからです。

計画した山行は運悪く悪天候に阻まれ、実際に3000メートルを上回る頂には立てず、八ヶ岳連峰の最高峰である赤岳(2899メートル)に立つのがやっとでした。

しかも、その後も体力が元通りになることにもつながらず、私の淡い期待も風に吹き消されたようなものだったのです。ただ、全く光明が見えないかといえばそうでもなく、初老にまで達してみると、どうも燃費がよくなるようです。