検査場には検査前のトレーが山積みされていた。機能検査とは、基盤全体のチップの配列、プリント基板の導通などをパソコンを使って行うものである。

検査ラインは4ラインあり、その日の検査量によっては3ライン稼働するときもある。各ラインでは1名の検査員がパソコンを操作している。検査の方法は基盤をパソコンに接続しスタートキーを押す。

約60秒(長いものは2分くらいかかる)後に〝OK〟または〝NG〟のサインがパソコンの画面上に表示される。終了ボタンを押して基盤を取り外し専用のトレーに入れる。トレーに入れられ合格した基盤はロット単位で台車に載せられ、検査員によって組立工場に運ばれる。

3人は最後の組立工場に向かった。組立工場に入るとプレス工場から送られてきたプラスチックケースが、工場入り口回りに数十箱押し込められていた。荷札を見ると一週間前に送られてきたものも本日送られてきたものもあった。

また荷札に記載されている組立指定日を既に数日経過しているケースも見られた。また基盤工場から送り込まれたトレーもうず高く積まれていた。この基盤についてもその荷札を見ると加工工場からのものと同じように日程に対する配慮は見受けられない。

組立工場内には4本のベルトコンベアのラインがある。コンベアの長さは約8mくらいで、それぞれのコンベアには4人から6人の作業者が椅子に座り、自分の受け持ちの組立作業を行っている。

組立作業を行っている作業者をよく見ると、手の早い人、作業量の多い人少ない人などが混在しており、全体のバランスに欠けているように見受けられた。

組立が完了した製品は一つのプラスチックケースに10個ずつ入れられ、組立ラインの最後の人が1ロット分をひとまとめにして完成検査を受けるために検査場へ送る。検査は製品をパソコンに接続して約30秒でパソコン画面に〝OK〟〝NG〟の結果が表示される。

検査に合格した製品は最終工程の梱包場にロット単位で運び込まれる。梱包場の入り口付近には、梱包の順番待ちの製品が大量に置かれていた。

※本記事は、2021年2月刊行の書籍『企業覚醒』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。