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商圏が消える

私たちが出店計画を考えるときには、物理的距離をたえず意識してきました。商圏という概念です。商圏にはさまざまな考え方があります。商品によって商圏が異なります。例えば、食料品、日用品などの最寄り品の商圏は、第一次商圏といわれ、およそ徒歩5分から10分程度の広がりがあります。

これに対して、婦人服、紳士服、家具、家電製品などの買回り品は、第二次商圏といわれ、車で5分程度の範囲に広がります。

さらにブランド商品などの専門品は第三次商圏として、さらに広がります。このようにビジネスを行う上で消費者からの絶対距離は極めて大きな意味がありました。さらに車社会では距離だけではなく、車道の手前側と向こう側では、商圏が異なります。たとえ、目の前を潜在顧客の車が通っても向こう側の車道にいれば、別の商圏になり、ターゲットではなくなってしまいます。

このように実店舗では、ビジネスは消費者との距離が決定的に重要になります。しかし、オンライン社会では、絶対的距離が消滅したことで、商圏という概念がなくなります。すべての企業にとって、市場は地域、都市、地方、国の境が消滅し、世界となります。すべての商品、サービスが完全に国境を越える日がさらにはっきりしてきたといってもよいでしょう。

オンラインワークでの人々の反応

いまや日本のいたるところで見かけられるようになったオンライン会議について考えてみましょう。ITリテラシーとは縁のない人も、オンライン会議に参加するようになりました。

たかが会議と思って参加したところ、いままでと様子が大きく異なることに気づきました。

私たちはどんなことに気づいたのでしょうか。この半年で私たちが調査した結果と、NHKの報道に基づいて見てみましょう。

●オンラインワークでよかったこと

1 通勤時間が要らない
2 移動時間がいらない
3 海外も国内と同じような感覚でできる
4 体力が消耗しない
5 渋滞に巻き込まれない
6 ほとんどの打ち合わせがオンラインでできる
7 どこでもいつでも打ち合わせができる
8 パソコン一つあれば、打ち合わせができる
9 移動時間がないため、お互いの日程が組みやすい
10 考える時間が多くなる
11 気を遣うストレスが少なくなる
12 意見を言いやすい
13 気軽に質問できる
14 生産性が高まる
15 集中できる
16 アイデアが浮かびやすい
17 細かな打ち合わせはチャットで事足りる
18 情報管理が楽になった
19 会話しながら情報検索ができる
20 移動で起こる事故がなくなる
21 一休みして体調の調整ができる
22 家族との時間が増える
23 家族の面倒を見ながら仕事ができる
24 自分の仕事のスタイルを見つけられる

●オンラインワークで課題があると感じたこと

1 紙を使う作業
2 現場がある仕事、作業
3 監視体制が敷かれると疲れる
4 相手が高齢者のとき
5 オンライン環境が整っていないとき
6 体の動き、目の動き、表情をしっかり把握する必要があるとき
7 仕事をさせられていると思う人
8 押印が必要なとき
9 初対面の人
10 現物を見ながら話をしたいとき
11 作業評価

オンラインTV会議を経験した人は、ほとんどの人がここに示されたような印象を持たれたのではないでしょうか。では、新型コロナが起こってから、企業は実際にオンライン会議に対してどのように感じ、どのように行動したのでしょうか。