お子様のかゆみトラブルで

生後直後から、小学校低学年くらいまでは、さまざまなことを我慢することは難しいものです。かゆみを引っ掻く前になんとか……と言っても、手加減なしに引っ掻きます。また、しっかり薬を飲んだり塗ったりするのも一人ではできません。したがってご家族の皆さんの助けが必要になります。我慢はできませんが、与えられたものの中で生活しているのもこの時期なので、ご家族の方々がポイントを押さえた対応をされることが大切です。

「かわいそうだから……」といって欲しがるものをすべて与えてしまうほうが、後々もっともっとかわいそうなことになります。

心のサポート

ストレスがかゆみを悪化させることは知られています。重症になればなるほど、かゆみに煩わされるだけではなくなります。ひどい皮疹や無数の掻き傷を見られること、かゆみによる睡眠不足などがストレスの元になりさらなるかゆみを生むという悪循環に陥ってしまいます。また、そのかゆみを周りの人に理解されず、軽々しく「たかがかゆみ」とか「掻かなければ治る」などと言われると、嫌悪感を抱くとともに、言った人に対して不信感を持ちます。

さらに、次にいつ来るかわからないかゆみに対する不安が高まり、再発を繰り返すうちに将来への悲観が湧き上がります。

そもそも慢性的なかゆみが起こっているだけで体は疲労していますが、加えてこれらの精神への影響があります。

ご家族の方々もこれらを理解してあげてください。そしてかわいそうと思うだけでなく、実際に手伝ってあげてください。子供に限らず、大人でも炊事・洗濯・掃除をはじめ、背中へのクリームの塗布や天候・食事・その日の行動による体調の変化の記録などいろいろ手伝うことはあります。「てあて(手当)」といいますが、小さな子供も大人も、心配してくれている方に優しくさすられるだけでもかゆみが落ち着くものです。

また患者さんは、自分の体の状態を理解することに努めてください。何をした時、何を食べた時、一日のうちいつ調子が良くなり調子が悪くなるのか。できればメモすると良いと思います。一番つらいのは自分ですが、一番努力しなければいけないのも自分です。普通に生活している人と違い、制限されることが多くなります。これらのことから本当に人は不平等だなと思いますが、こういう気持ちに支配されてマイナス思考ばかりしていてはなかなか先は明るくなりません。かゆみトラブルはきっと良くなります。予定は立てにくいですが、未来に目標を持って、それに対して今何をするべきかを考えてみてください。