籠に乗る人、担ぐ人!どっちを選ぶ

「籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人」という格言を、聞いた方は多いと思います。

「世の中には階級・職業がさまざまあって、同じ人間でありながらその境遇に差のあることのたとえ。また、そのさまざまの人が、うまく社会を構成していることのたとえ」(出所:デジタル大辞泉)という意味で使われます。

人には、人それぞれ、自分に合った「落としどころ」が必ずあります。たとえ社内での評価が低くても、たとえ昇進できなくても、相性を超えたその先に、どこか必ず「落ち着く先」が存在します。

「籠」を、一部上場企業や一流企業、有名企業のような会社、組織として捉えることもできます。一方、社長や役員、部長、課長のような、役職に置き換えることもできます。

会社で働く多くのビジネス戦士は、どの「籠」に乗るべきか、「籠」の種類はどれにしようか、などに思いを馳せながら、日々ハードワークをこなしているのではないでしょうか。「今は、とりあえず担いでいるだけだが、いずれは乗る立場になってみせるぞ」と、虎視眈々とチャンスをうかがっていることでしょう。

人によっては、すでにその状態から抜けて、「このままずっと、担ぐだけでもいいかな」と達観しているかもしれません。状況によっては、担ぐふりをして、実際にはぶら下がるだけで、「少しでも楽をしよう」と、知恵を絞る輩もいるかもしれません。

出世できるかどうかは、所詮「上司との相性次第」です。どんなに一生懸命に担いでも、担ぎ甲斐がなくなれば、気持ちが変わるのも、理解できないわけではありません。

「担ぐだけ」や「担ぐふり」は、組織の中における生き方のひとつでもあります。どれを選択するかは、各人の考え方次第です。

また、成り行き上、意図しない展開になるケースもあります(むしろ、そういう場合のほうが多いのではないかと思います)。しかし、心底納得できる「落としどころ」が、長い社会人生活の中には必ず存在します。

問題は、その「落としどころ」が、いつ、どこで、どのように訪れるのか、誰にも分からないということです。気をつけていないと、知らず知らずのうちに、目の前を素通りしてしまうかもしれません。

でも、意識さえしていれば、必ず気づく時がやってきます。その「気づき」こそが、この本のメインテーマとなります。