本来は分業が先でも、横串機能が先でもない。つまり、組織として何をしなくてはならないかがあって、分業が選択されるということが重要なのである。しかしながら、既に構築されたチームで何かをするのが常識のように思ってしまうと、チームの責任者として自分が何をすれば良いのかわからなくなる。出来上がった組織のオペレーションを引き継ぐだけだから、管理職というよりはむしろパーツの1つなのである。よく考えてみていただきたいのは、ただでさえ皆同じ人間でもないのに、職務記述書を見て、自分が何をすべきかなんてことをスラスラとイメージできる人は多くない。まして新任の管理職・リーダーの場合は、「チームは機能すべき」だという錯覚を起こす。

ハーバードビジネスレビューに驚愕の記事が載っているが、クロスファンクショナルチームの75%は機能していないという。本来は、目的とチームの専門性に基づき作業分担が決まるはずなのであるが、役目として定めてしまったところがそもそも問題なのである。

標準業務手順書は便利であるが、本質を見誤り、書いてあることしか実行しない病が蔓延する原因になる。組織デザインの理由と、デザインの根拠を理解することは極めて重要なことである。そしてそのチームでやったことが成果物(アウトプット)になるのだ。品質(クオリティー)が良いとか悪いとかいう話がある。品質とは何等かの根拠に基づきデザインされたシステムや仕様を反映するアウトプット(成果物など)が、アウトプットの要求者の主観で良いとか悪いとか評価されるという特徴がある。責任者であるあなたが、どういうチームや組織にデザインするかが重要なのである。
 

※本記事は、2020年11月刊行の書籍『管理職魂』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。