組織(Structure)

組織というと、ついつい大きな部署を想像してしまうかもしれない。小さな組織を機能させることができなければ、大きな組織を動かすのは難しい。組織を機能する状態にすること、組織を機能しているか評価すること、必要に応じて修正プログラムを提案することは、人が増えて関係者が多くなればなるほどやりにくい。経験がなく、何をしたら良いかわからなければ尚のことである。大抵の人は、聞き齧りの知識くらいで、いきなり「はい、今日からこのグループがあなたの組織です」という状況に置かれるので、経験のない管理職になりたての人は、何から手を付けて良いか迷うところであろう。

最初の90日に何をするか?ということにフォーカスしたビジネス本を手に取り、あれこれ考えることになるわけだが、90日が大事なのではなく、何をするかを考えるために、自分たちのチームや組織は何をするために存在していて、どういう価値を会社活動の中で生んでいるのかを理解し、そのために自分たちは何をしなくてはならないかを考えることが重要なのである。

90日でも100日でも構わないが、まずは、組織の特徴的なところを把握してほしい。例えば、チームと置き換えても良い。チームには目的があり、チームを編成・組織する理由がある。それは例えば、一人で何かをしようとすると時間もかかるし効率も悪いときである。スポーツなんかはルールが先行していることが多いが、元々一回であのようなルールになったというものはそれほど多くない。

さて、チームを編成するときは、何をするだろうか。同じ役割を複数の人でやるのは何となく非効率的なので、分業ということを考えだす。その分業に適したチームメンバーを決める。職場では、やりたいことよりもそれぞれの人の専門性で分けることが多い。目的を果たすために必要不可欠な役割(作業分担)を決める。分業が進化していくと、専門性の同じ人同士をグループに分けて、エキスパートの集団を複数作ることを考える。その方が、何でも担当させられた場合と比べて、あるエリアの専門性が同じ時間で効率よく高くなるからだ。

プロジェクトチームを作るときによく活用されるクロスファンクショナルチームであれば、必要不可欠な専門性を持った人がそれぞれのグループから割り当てられて1つのチームとして構成される。当然、異なる専門性で構成されるわけであるから、作業分担としてダブりや漏れがあるのはチームのデザインに欠陥があるということになる。そして、目的を果たすために、それぞれのメンバーが果たすべき役割について行動基準(業務手順や業務プロセスなど)という形で決められる。通常は、漏れがないかどうか徹底的に精査されて決めるが、あらゆる可能性を想定することはできないので、主な役割が記載されて例えば職務記述書のようなものとしてまとめられる。分業したら当然調整するのがセオリーなわけである。横串で管理・調整する役目が必要で、目的を果たすために各メンバーが役割通り動いているかどうか、同じタイム感で動けているか適宜修正を図る。