そして、テーブルをくるっとまわって紀理子さんの隣にきて座った。

「はい、これ、小学六年生の頃の清躬くん」

橘子がまず見せたのは、橘子と二人で写っている写真。和華子さんと三人で写っている写真は、和華子さんに眼をきつけられて言葉も失ってしまうから、あとにしよう。

「本当、清躬さん。──かわいらしい」

燥ぐように叫んだ紀理子さんを見て、橘子も満足した。

「私の場合、小学生の時の清躬くんを知ってるから、今の清躬くんの写真を見ると、おとなになったなとおもうけど、紀理子さんの場合は逆よね。子供の清躬くんもいいでしょ」

「ええ、本当に。小さい時のおもかげ、今もちゃんとありますね」

それから、写真をちょっと橘子のほうに寄せて、紀理子さんが言った。

此方こちらは──あの、橘子さん?」

「ええ、そうよ」

「昔から美人さんだったんですね」

紀理子さんがちょっとにこっとして言った。けれども、いきなりそんな言われ方をするとはおもっていなかったので、橘子はあわてて両手を顔の前で振った。

「わあ、美人さんだなんてして」

「言い方失礼でした?」

「想像もしてなかった。第一、私、この頃、同級生の男子からブスと言われてたもの」

「まあ、どうして?」

紀理子さんが理解できないような表情をした。

「どうしてって、言った子にきかなきゃわからないけれども」

橘子は、小学校の頃はからだがかなり大きいほうだった。先生にきいたら、女子のほうが男子より体格がいい時期だから、特に体が大きい女子に対して男子がブス呼ばわりするのはよくあることで、気にする必要はない、と言われた。

「橘子さんにそんなことを言う男の子、本当ひどいですよね。でも、その子、実は橘子さんが好きで、注意を惹きたいからわざとそんな意地悪なことを言ったのかも」

「人のいやがることを言って、それで好きだなんて通用するもんですか」

「おこってますね」

「おこるわよ。その子が言ったのがきっかけで、ほかの子も言うようになったんだから」