星空を見つめながら、何気なくそんなふうに過去を振り返ったとき、大島は過去の思い出の中に父の悲痛な叫びを感じることになって、一瞬胸が抉られそうな衝撃を覚えたのだった。

すると、今頃になって後ろめたさを覚える自分を変に思ったりしたが、そう取り乱したりはしなかった。

これは窮地に立たされない限り思い至らない感情だったし、たとえ子供の頃気づいたとしても理解できたかどうかは疑わしいし、今だからこそ思い及ぶものであれば、心してしっかり受け止めなければならない、と。

この降って湧いたような心境の変化に、大島の心が激しく揺さぶられたのは言うまでもなかった。

知らず知らずのうちに田園地帯へ迷い込んだのも、元を正せば自身の不甲斐ない行動に端を発するものだったとはいえ、何かしら不思議な力に操られているような気さえしてくるのだった。

時間という、とんでもない魔物に翻弄され、心が病んでいるのもその一つだが、その根源的な煩わしさが生来のものならば、そう簡単に変わるものではないし、むしろ過去に遡って自分を見つめ直さない限り、本来の健全な自分を取り戻すことは難しいだろう、と思うのだった。

そうして感極まるうち、先ほどと同じように星空を凝視しながら複雑な心の内をそっと吐露したのである。幸せとは何だろう……。

そして、父は、何を語ろうとしていたのか?

大島は、過去のしがらみから抜け出そうと必死だった。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『青二才の時間の幻影』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。