それまで、厚労省ホームページに掲載されていた科研費研究班の記録は、厚労省ホームページから削除され、全日病ホームページへと移された。

・医法協医療事故調ガイドライン検討委員会中間報告と医法協医療事故調ガイドライン

科研費研究班の議論に疑念を感じた筆者は、2014年(平成26年)6月13日、日本医療法人協会内に医療事故調査制度ガイドライン作成の委員会を立ち上げるべきであると提言し、医療安全調査部会の下に、医療事故調査制度ガイドライン作成小委員会を作ることが決定された。

ただし、科研費研究班としてガイドライン作成の研究班が立ち上がっていることでもあり、日本医療法人協会もメンバーとなっている関係上、ガイドライン作成委員会の委員長は日本医療法人協会役員外から選任することとなり、坂根みち子医師(現場の医療を守る会代表世話人)にお願いすることとなった。

メンバーは、現場の医療を守る会世話人を中心に選定することとした。振り返れば、絶妙のタイミングでの日本医療法人協会独自のガイドライン作成決断であった。

各委員がボランティアで夜を徹して議論してガイドラインをまとめることとなる。最強メンバーであった。日本医療法人協会医療事故調ガイドラインは、科研費研究班の議論開始に先立って厚労省から示された課題に対して筆者が提出した「日本医療法人協会の見解」をたたき台とした。

科研費研究班が混迷の最中に、早くも同年8月26日、「現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会中間報告書」を公表することとなる。

筆者らは、科研費研究班の混迷の原因は、法律の逸脱であり、「法律による行政の原理」の大原則にも反することになりかねないと判断。厚労省法令系と直接に意見交換を行うこととした。

そのなかで、厚労省が新たな検討会の立ち上げを検討中であるとのニュアンスを得た。このため、急遽、中間報告から、夜を徹しての打ち合わせを行い、中間報告書発表から約1か月後の同年10月1日には「日本医療法人協会医療事故調ガイドライン(現場からの医療事故調ガイドライン検討委員会最終報告)を発表。

10月14日、橋本岳厚労政務官に最終報告書を日本医療法人協会医療事故調ガイドラインとして提出するに至るのである。

※本記事は、2018年12月刊行の書籍『未来の医師を救う医療事故調査制度とは何か』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。