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厚労省の考え方提示と日本医療法人協会見解

第3回の科研費研究班会議冒頭で、筆者は、「第2回科研費研究班記者ブリーフィングの撤回を要求」する声明を発表した。「言うべきことを言う」という当然の行動である。

ブリーフィングに厚労省が立ち会って権威づけを行ったことも問題にした。医療安全推進室長のWHOドラフトガイドラインのミスリード発言も訂正を求めた。

科研費研究班は、更なる混迷を深めた。

改正医療法第6条の10第1項は、医療事故の定義として、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」とされており、「管理」は含まれていない。

ところが、医療安全推進室長は、「この医療の中には管理も含まれます」と発言したのである。とんでもないことである。このような解釈などできるはずがない。

現に、医療事故情報収集等事業においては、「医療又は管理に起因して」と明確に「医療」と「管理」を使い分けているのである。

このような法律無視のガイドライン作成が厚労省の方針であるのか、法律の解釈に関わることであるので、筆者らは、直接、厚労省法令系上司に面会し、確認を求めた。

その結果、厚労省法令系は、筆者らの解釈が正しいことを認めたのである。このような経緯で、今回の医療事故調査制度の対象から、「単なる管理」がはずれることとなった。

「管理」が報告対象外であることの確認は重要である。創設された医療事故調査制度は、単なる管理は、報告対象外としている。施設管理、転倒・転落等、在宅でも発生するようなものは、今回の医療事故調査制度の報告対象外である。

管理が報告対象外であることの確認をとった筆者ら日本医療法人協会の行為は、大きな意義を有するのである。一方、日本医療法人協会ガイドライン作成委員会は、徹夜作業で、ガイドライン作成を急いだ。

厚労省法令系は、科研費研究班の作業過程に疑問を募らせたのであろうと思われる。新たなガイドライン作成のための検討会が厚労省医政局の検討会として立ち上がることとなり、科研費研究班は梯子を外されるのである。