【人気記事】JALの機内で“ありがとう”という日本人はまずいない

戦略(Strategy)

もともとは軍事用語である。

勝つために、あるいは目的を果たすために、使えるリソースをどこに投下するかを考え、何をするかを明確にすることが戦略構築の肝となる。

ここでいうリソースは、人、モノ、金、情報そして時間のことを指す。戦略は、選択と集中を意味し、無駄遣いとは対極の考え方によって成立する概念なのである。

例えば、採算の悪い事業をカットして、得意な会社に売り渡すことも、無駄遣いをしないという意味でも重要な意志決定になる。情報管理やリソースの確保は組織のリーダーを含め管理職の大事な仕事の1つである。

情報を十分に吟味していないのに戦略策定を試みることをしてはいけない。練りこまれたもの以外は響きの悪い標語のようである。例えば「革新的なテクノロジー」とか響きの良いキーワードを織り交ぜると、不格好さが目立たなくなる。なんとなく良いものができた感じがする。

しかしながら、期待される効果が最大限になるように何をするのかわかりにくくなる。従って、戦略はしっかり練り込まれていることが大前提である。

残念ながら、どんなレベルの人でも誤用しがちなのである。これはこれで仕方がないことではある。

なぜならば、戦略の専門家が必ずしもシニアマネジメント、管理職に登用されるわけではないし、ワーキングレベルではむしろ戦術の方が重要で、ビジネスモデルが確立している場合においては、そこまで時間をかけて戦略を練りこむ必要もないので、当然のことながら戦略構築の経験も少ないし、考える時間もほとんどない。

目標設定で悩むことが多々あると思うが、いまあるリソースではどうにもならない場合がある。

例えば、やることありきで設定された目標であったり、やること自体が目標になっている場合、更には無謀な目標や、やる意義に乏しい目標が、何らかの要因で先行してしまう場合である。

そんなときには理にかなった戦略というものを立てることが難しくなる。分析結果に基づく戦略策定という大前提が崩れるから当然矛盾が生じるわけである。

それでも何とかするのであれば、いまのリソースで何とか勝てる方法を考えることになるわけだが、基本的にこのような状況に陥っていることに気付いていても、そのことを指摘するのが難しいことが多い。

戦略が構築できない状況は多々あるが、組織内部の要因による影響も少なくない。

ムラ文化やヒエラルキーも障害になる。旧日本軍が太平洋戦争で使った「人海戦術」は技術レベル(兵器)の差が歴然で、一対一では倒せないような相手に適応しようとしたわけだが、そもそも「複数でかかれば倒せるかもしれない可能性がゼロに近かった」ことがわかっていたにも関わらず、リソースの無駄遣いをしたわけである。

極端な状況であるが、組織ではこういうことは日常的に起きている。