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アドラー心理学の基本的な五つの考え方

アドラー心理学の基本的な考え方として、目的論、認知論、全体論、主体論(自己決定性)、人間関係論が挙げられます(図2)。個別に読み解いていきましょう。

 

(1)目的論 自分の未来を目的で切り拓く

基本的な五つの考え方の中で、最もアドラー心理学を特徴づけているのが目的論です(図3)。目的論に関してアドラーの言葉を次に引用します。アドラーが直接的に目的論と述べている箇所に注目してください。

 

個人心理学とは、アドラー心理学のことです。

「個人心理学という科学は、生の神秘的な創造力を理解しようとする努力から発達しました。その力は、目標を追求し、それを達成しようとする欲求に、さらには一つの方向において失敗しても、別の方向で成功することを求めることで補償しようとする欲求に表現されている。この力は、「目的論」的なものです。」(『個人心理学講義』)

人間の行動には、必ず目的があります。

アドラーの言葉にあるように創造力と目的とは関連しますので、目的論は、未来志向と言えます。自分の未来は、創造力を発揮して目的で切り拓いていきます。

つまり「人間は、未来の自分のために生きている」と捉えるのが目的論です。

目的論と相反する捉え方は原因論です。ビジネスの世界では、原因論で鍛えられますので、この思考がこびりついてしまいます。典型的な例は、トヨタの生産現場で使用される「なぜなぜ分析」です。