「私たちって、現代から来て貨幣を始めたりして、結構ワル目立ちしてるわ。だから武器を持たないことも、平和主義であることも、宣言したらパッと広がると思う。それに、攻められ放題になんかならない。なぜって、全ての集落が私たちが武器を持っていないってことを知ってる状態で、にもかかわらず攻め入ったら『丸腰の相手にひどい奴らだ』って反感をかうでしょ?」

「どうかなあ?」

林は首を傾げた。

「実際に広まる確証はないし、『ひどいやつらだ』なんて人道的な考え方が、この時代にあるのか疑問だよ。ユヒトたちはともかくとして」

「ここの人たちってそんなに薄情なの? 頼れるのは人だけだから、情を大切にすると思ったんだけど」

木崎は口惜しそうな目をした。

「気持ちは分かるけどさ」

岩崎が言った。

「今の問題は、笹見平からいかに侵入者への恐怖を取り去るか、だよ。俺たちが積極的に行動して恐怖を取り除かないと。他人をあてにしてたら本当の解決にはならないよ」

「それは確かにそうだけど」

木崎は戸惑った。「さて」林は顔を上げた。

「盛江君の報復案はちょっと大胆すぎるけど、岩崎君の武装化案は、一番現実味がある気がする」

「そうかしら?」

泉が異議を呈した。

「私たちが武装したら、強盗団はそれ以上に武装しないかしら。相手への恐怖を大きくしてしまうからよ。そしたらこちらもさらに武装して、それを知った相手もさらに――という風に、いたちごっこにならないかしら?」

「うーん」

林は唇をかんだ。岩崎は難しい表情を浮かべ、

「それが解決できるなら現代に戦争にも無かったろうね」

林は意を決し、

「このままじゃ決まらない。けど、決めないとずっと不安のままだ。今回は、貨幣の時と同じように、リーダーであるぼくの意見で進めることを許してほしい。間違っていたら、後からみんなで解決策を講じよう。まず、今後は岩崎君の案に従い、笹見平を武装化しようと思う」

一同どよめいた。全員が賛成でないことがはっきり分かった。

「目的は、再び強盗団が襲ってきても応戦できるように、悪者への抑止力になるように。それと、もう一つ。自分のことは自分で守る――そのことをぼくら自身が努めて意識するために」

「お、良いこと言うなあ」

砂川は目を細めてうなずいた。

「自分で自分を守れるという自信は、プライドにつながっていく」

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『異世界縄文タイムトラベル』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。