「今まできつかったですね。でも大丈夫ですよ。こわれたものは修理できるのだから。バラバラになったものでも組み合わせたり形を変えたりして、修理ができるんですよ。だから、あなたの心も大丈夫です!」

「どうしたらいいの?」

少女は、修理屋さんを見つめました。

「そうだなぁ。ちょっと来てごらん」

修理屋さんは少女を屋根裏部屋へと案内しました。大きな天窓から大きく広がる星空が見えます。

「すごくきれい!」

涙目の少女が見上げると、夜空に浮かぶ一つ一つの星がそれぞれに美しく輝いていました。

「人間もこんなもんかもなぁ。結局は一人で光らんといかん……これからは、あなたらしい光を見つけていくといい。あの星たちのようになあ」

修理屋さんが少女を見ると少女は、うなずきながらニッコリと微笑んでいました。少女の笑顔にホッとした修理屋さん。

「さぁ。これからですよ! あなたのバラバラになった心を修理できるのは、あなたです! というわけで、私にも修理できないものがあったということですなぁ。ハハハ〜」

修理屋さんの大きな笑い声につられて、少女も久しぶりに大声で笑いました。そして二人は、光を放つ星空を見上げながら大きくのびをしました。

少女は、すごく大切なものをもらったような気がしています。それは心を修理するための見えない道具。

「ありがとう! 修理屋さん。私、やってみるから!」

少女のハツラツとした声が夜にひびきました。少女は修理屋さんに手をふると、星や月が明るく照らす丘を下って行きます。その背中は、来た時とは違うりんとした背中でした。

勇気をもらった背中でした。修理屋さんは、今夜もいつものように、星空に包まれながら眠りにつきます。ここを訪れた人達の笑顔とこれから出逢う笑顔を思い浮かべながら……。

さて。明日は、どんなこわれものをかかえたお客様が、訪れるのでしょうか。

※本記事は、2020年12月刊行の書籍『平気なふりをしている心へ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。